○美幌町立小中学校ハラスメントの防止に関する要綱
令和2年6月1日
制定
(目的)
第1条 この要綱は、美幌町立の小学校及び中学校に勤務する教職員(以下「教職員」という。)がセクシュアル・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント及びパワー・ハラスメントを引き起こすことによる、児童生徒の心身に対する悪影響、美幌町の教育に対する住民の不信、教職員の勤務環境及び児童生徒の学習環境(以下「勤務・学習環境」という。)が害されること等の事態の発生を未然に防ぐとともに、万一、このことが発生した場合においては、適切に対応することによってその行為を制止し、信頼される教育行政の確保、教職員及び児童生徒の利益の保護並びに教職員の十分な勤務能率の発揮に資することを目的とする。
(1) ハラスメント セクシュアル・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント及びパワー・ハラスメントの総称
(2) セクシュアル・ハラスメント 他の教職員及び児童生徒を不快にさせる性的な言動(性的な関心や欲求に基づく言動をいい、性別により役割を分担すべきとする意識又は性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動を含む。)をいう。
(3) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント
ア 教職員が妊娠等をしたこと(妊娠若しくは出産したこと又は妊娠若しくは出産に起因する症状(つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠又は出産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいう。)並びに不妊治療を受けることにより勤務することができないこと若しくはできなかったこと又は能率が低下したことをいう。以下同じ。)に関して当該教職員の勤務環境を害するような言動をいう。
イ 教職員の制度等の利用(別表第1に掲げる制度又は措置の利用をいう。以下同じ。)に関して当該教職員の勤務環境を害するような言動をいう。
(4) パワー・ハラスメント 職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、他の教職員や児童生徒に対し精神的若しくは身体的な苦痛を与え、人格若しくは尊厳を害し、又は教職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。
(5) ハラスメントへの対応 ハラスメントに対する拒否、抗議、苦情の申出等の行為をいう。
(6) ハラスメントに起因する問題
ア ハラスメントのため教職員の勤務環境が害され、又は児童生徒の学習環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して教職員がその勤務条件につき不利益を受け、又は児童生徒が心身に被害を被ることをいう。
イ 教職員が妊娠等をしたこと又は制度等の利用の請求等をしたい旨を上司に相談したこと、制度等の利用の請求等をしたこと若しくは制度等の利用をしたことにより勤務条件につき不利益を受けることを示唆されることをいう。
ウ 教職員の制度等の利用の請求等又は制度等の利用が阻害されることをいう。
エ 教職員が妊娠等をしたこと又は制度等の利用をしたことにより、当該教職員の能力の発揮や継続的な勤務に重大な影響が生じる等、勤務する上で看過できない程度に繰り返し若しくは継続的に、嫌がらせ的な言動を受けること、業務に従事させられないこと又は専ら雑務に従事させられることをいう。
(7) 勤務・学習環境が害されること 教職員や児童生徒が直接又は間接的にハラスメントを受けることにより、職務に専念することができなくなる等公務能率が損なわれ、あるいは学校にいることや学校に行くことに苦痛を感じる等、学習意欲や登校意欲が損なわれることをいう。
(8) 勤務条件につき不利益を受けること 昇任、配置換等の任用上の取扱いや昇格、昇給、勤勉手当等の給与上の取扱い等に関し不利益を受けることをいう。
(校長の責務)
第3条 校長は、教職員がその能力を十分に発揮でき、児童生徒が安心して学習及び生活を行える勤務・学習環境を確保するため、ハラスメントの防止及び排除に努めなければならない。
2 校長は、ハラスメントに起因する問題が学校に生じていないか又はそのおそれがないか、勤務・学習環境に十分な注意を払わなければならない。
3 校長は、ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、必要な措置を迅速かつ的確に講じなければならない。この場合において、ハラスメントに対する苦情の申出、当該苦情等に係る調査への協力その他ハラスメントに対する教職員の対応に起因して、当該教職員及び児童生徒が学校において不利益を受けることがないよう、また、同僚等から誹謗や中傷等を受けることがないよう配慮しなければならない。
(教職員の責務)
第4条 教職員は、次の各号に定めるところに従い、常にハラスメントに対する認識を持ち、ハラスメントをしないように注意しなければならない。
(1) ハラスメントをしないようにするために教職員が認識すべき事項
ハラスメントをなくすためには、意識や心構えが重要であることから、教職員は常にこれらの認識をしておく必要があり、具体的には別表第2に掲げるような認識を持つことが大切である。
(2) 職場の構成員として良好な勤務・学習環境を確保するために認識すべき事項
学校は一般の職場環境と異なり、児童生徒の教育の場であることに注意する必要がある。勤務・学習環境はその構成員である教職員の協力の下に形成される部分が大きいことから、ハラスメントにより勤務・学習環境が害され、ひいては教育の場として望ましくない状況が生じることを防ぐため、教職員は別表第3に掲げる事項について、配慮するよう努めなければならない。
(3) ハラスメントに起因する問題が生じた場合において教職員に望まれる事項
(4) 懲戒処分
ハラスメントの態様等によっては信用失墜行為、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行等に該当して、懲戒処分に付されること(道費負担教職員にあっては、懲戒処分の内申を行うこと)がある。
2 教頭は、良好な勤務・学習環境を確保するため、日常の執務を通じた指導等によりハラスメントの防止及び排除に努めるとともに、ハラスメントに起因する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。
(研修等)
第5条 校長は、ハラスメントの防止等を図るため、所属教職員に対し、必要な研修等を実施するよう努めなければならない。
(苦情相談への対応)
第6条 美幌町教育委員会は、ハラスメントに関する苦情の申出及び相談(以下「苦情相談」という。)がなされた場合に対応するため、次のとおり、苦情相談窓口を設置する。
(1) 苦情相談窓口 美幌町教育委員会学校教育課内
(2) 苦情相談に対応する者(以下「相談員」という。) 教育長が指名する職員
(3) 苦情相談窓口の開設日及び時間等は、学校教育課長が別に定める。
2 相談員は、苦情相談に係る問題の事実関係の確認、当該苦情相談に係る当事者に対する助言等により、当該問題を迅速かつ適切に解決するように努めるものとする。この場合において、相談員は、人事院指針(セクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談に対応するにあたり留意すべき事項についての指針又は妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針)に十分注意しなければならない。
3 苦情相談窓口においては、ハラスメントによる直接の被害者だけでなく、次に掲げる教職員、児童生徒等からの苦情相談にも応じるものとする。
(1) 他の教職員や児童生徒がハラスメントを受けているのを見て不快に感じる教職員や児童生徒、保護者からの苦情の申出
(2) 他の教職員や児童生徒にハラスメントをしている旨の指摘を受けた教職員からの相談
(3) 苦情相談窓口の開設日及び時間等は、学校教育課長が別に定める。
4 苦情相談に応じた相談員は、苦情・相談記録簿(別記様式)により、その内容を記録するものとする。
(苦情相談の処理)
第7条 前条の規定により苦情相談窓口に苦情相談があった場合、美幌町教育委員会は速やかに次に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 学校教育課長を中心に、複数の教育委員会職員により事実関係の調査及び確認を行う。
(2) 事案の内容又は状況から判断して、必要と認めるときは、次条に規定する苦情処理委員会にその処理を依頼する。
(苦情処理委員会の設置)
第8条 ハラスメントに関する苦情相談に対し適正かつ効果的に対応するため、苦情処理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会はハラスメントに関する苦情相談のうち、前条の規定によりその処理を依頼された事案について事実関係を調査し、その対応措置を審議し、及び必要な指導助言を行うものとする。
3 委員会は、教育部長、学校教育課長及び教育長が指名する職員をもって組織し、教育部長をもって委員長に充てる。
(プライバシーの保護等)
第9条 苦情処理に当たっては、当事者のプライバシーの保護に努め、苦情相談を行った者が苦情相談を行ったことにより不利益を被らないよう注意しなければならない。
附則
この要綱は、令和2年6月1日から施行する。
附則(令和3年1月27日一部改正)
この要綱は、令和3年4月1日から施行する。
附則(令和3年12月30日一部改正)
この要綱は、令和4年1月1日から施行する。
別表第1(第2条関係)
妊娠又は出産に関する制度又は措置の利用 | 危険有害業務の就業制限 深夜勤務・時間外勤務の制限 妊産婦健康診査休暇 業務軽減 妊婦の休息時間 妊婦の通勤緩和 産前休暇 産後休暇 配偶者の出産休暇 妊娠障害休暇 出生サポート休暇 |
育児に関する制度又は措置の利用 | 育児休業 部分休業 育児短時間勤務 育児時間 深夜勤務の制限 時間外労働の免除又は制限 男性育児休暇 子育てを行う教職員の休暇 |
介護に関する制度又は措置の利用 | 介護休暇 介護時間 深夜勤務の制限 時間外労働の免除又は制限 短期介護休暇 介護欠勤 |
別表第2(第4条関係)
認識事項 | 具体的内容 |
意識 | ・お互いの人格を尊重しあうこと。 ・相手を性的な関心の対象としてのみ見る意識をなくすこと。 ・異性を劣った性として見る意識をなくすこと。 ・お互いを大切なパートナーであるという意識を持つこと。 |
心構え | 1 教職員間のハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。 児童生徒など教職員がその職務に従事する際に接することとなる教職員以外の者との関係にも十分注意する必要がある。 2 職場におけるハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。 例えば、対教職員であれば歓送迎会、対児童生徒であれば部活動の対外試合中等、学校以外の場において、教職員が他の教職員あるいは児童生徒に対してハラスメントを行うことは、学校における人間関係を損ない、勤務・学習環境を害するおそれがあることから、場所及び時間にかかわらず注意することが必要である。 3 職員は、セクシュアル・ハラスメントに関する次の事項について十分認識しなければならない。 (1) 性に関する言動に対する受け止め方には個人間や男女間で差があり、セクシュアル・ハラスメントに当たるか否かについては、相手の判断が重要であること。 ア 親しさを表すつもりでの言動であったとしても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があること。 イ 不快に感じるか否かは個人差があること。 ウ この程度のことは相手も許容するだろうという勝手な憶測をしないこと。 エ 相手との良好な人間関係ができていると勝手な思いこみをしないこと。 (2) 相手が拒否し、又は嫌がっていることが分かった場合には、同じ言動を決して繰り返さないこと。 (3) セクシュアル・ハラスメントであるか否かについて、相手からいつも意思表示があるとは限らないこと。セクシュアル・ハラスメントを受けた者が、職場の人間関係等を考え、拒否することができないなど、相手からいつも明確な意思表示があるとは限らないことを十分認識する必要がある。 (4) 職場におけるセクシュアル・ハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。例えば、職場の人間関係がそのまま持続する歓迎会の酒席のような場において、セクシュアル・ハラスメントを行うことは、職場の人間関係を損ない勤務環境を害するおそれがあることから、勤務時間外におけるセクシュアル・ハラスメントについても十分注意する必要がある。 (5) 職員間のセクシュアル・ハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。 教職員がその職務に従事する際に接することとなる児童生徒や保護者等又は行政サービスの相手方など教職員がその職務に従事する際に接することとなる職員以外の者及び委託契約又は派遣契約により同じ職場で勤務する者との関係にも注意しなければならない。 4 職員は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントを生じさせないために、次の事項について十分認識しなければならない。 (1) 妊娠、出産、育児又は介護に関する否定的な言動(不妊治療に対する否定的な言動を含め、他の職員の妊娠、出産、育児又は介護の否定につながる言動(当該職員に直接行わない言動も含まれる。)をいい、単なる自らの意思の表明を除く。)は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因や背景となること。 (2) 仕事と妊娠、出産、育児又は介護とを両立するための制度又は措置があること。 5 教職員は、パワー・ハラスメントに関する次の事項について十分認識しなければならない。 (1) パワー・ハラスメントは、教職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害するものであることを理解し、互いの人格を尊重し、パワー・ハラスメントを行ってはならないこと。 (2) 業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示、指導、調整等についてはパワー・ハラスメントに該当しないこと。一方、業務指示等の内容が適切であっても、その手段や態様等が適切でないものは、パワー・ハラスメントになり得ること。 (3) 部下の指導・育成は、上司の役割であること。また、指導に当たっては、相手の性格や能力を充分見極めた上で行うことが求められるとともに、言動の受け止め方は世代や個人によって異なる可能性があることに留意する必要があること。 (4) 自らの仕事への取組や日頃の振る舞いを顧みながら、他の教職員と能動的にコミュニケーションをとることが求められること。 (5) 同一所属の教職員間におけるパワー・ハラスメントにだけ留意するのでは不十分であること。例えば、教職員がその職務に従事する際に接することとなる他所属の職員との関係にも十分留意しなければならない。 (6) 教職員以外の者に対してもパワー・ハラスメントに類する言動を行ってはならないこと。例えば、児童生徒、保護者又は教育実習生など、教職員がその職務に従事する際に接することとなる教職員以外の者との関係にも十分留意しなければならない。 6 部活動の指導者として、体罰等を厳しい指導として正当化することは誤りであるとともに、殴る蹴る等の行為はもちろんのこと、以下のような言動も許されないことを認識すること。 (1) 社会通念、医・科学に基づいた健康管理、安全確保の点から認め難い又は限度を超えたような肉体的、精神的負荷を課すこと。 (2) 脅し、威圧・威嚇的発言や行為、嫌がらせ等を行うこと。 (3) セクシュアル・ハラスメントと判断される発言や行為を行うこと。(これには該当しなくとも、指導に当たっての身体接触は、社会通念等から見て不必要なものは避け、必要性、適切さに留意することが必要であること。) (4) 身体や容姿に係ること、人格否定的(人格等を侮辱したり否定したりするような)な発言を行うこと。 (5) 特定の生徒に対してだけ執拗に指導を集中したり、肉体的、精神的負荷を与えること。 |
別表第3(第4条関係)
配慮事項 | 説明等 |
学校内のハラスメントについて問題提起する教職員、児童生徒をいわゆるトラブルメーカーと見たり、ハラスメントに関する問題を当事者間の個人的な問題やその教職員の指導方針として片付けないこと。 | 職場におけるミーティングを活用することなどにより解決することができる問題については、問題提起を契機として、良好な勤務・学習環境の確保のために皆で取り組むことを日頃から心掛けることが必要である。 |
学校からハラスメントに関する問題の加害者や被害者を出さないようにするために、周囲に対する気配りをし、必要な行動をとること。具体的には、次の事項について十分注意して必要な行動をとること。 (1) ハラスメントが見受けられる場合は、職場の同僚として注意を促すこと。 (2) 被害を受けていることを見聞きした場合には、声をかけて相談に乗ること。 | ハラスメントを契機として、勤務・学習環境に重大な悪影響が生じたりしないうちに、機会をとらえて職場の同僚として注意を促すなどの対応をとることが必要である。 被害者は「恥ずかしい」、「トラブルメーカーとのレッテルを貼られたくない」、「学校から問題児扱いされたくない」などとの考えから、他の人に対する相談をためらうことがある。被害を深刻にしないように、気がついたことがあれば、声をかけて気軽に相談に乗ることも大切である。 |
部活動については、生徒の自主的な活動であることを踏まえ、指導者の個人的な考えや方針により不適切な活動にならないよう十分注意すること。 また、指導者が、意図する、しないにかかわらず、生徒と支配、被支配の関係になる危険性があることを常に意識しながら、日頃から、生徒とのコミュニケーションを密に図りつつ、信頼関係の構築を図ることにより、ハラスメントの防止に心がけることが重要である。 | |
職場においては、ハラスメントがある場合には、教育の場にふさわしい環境づくりをする上で、上司等に相談するなどの方法をとることをためらわないこと。 |
別表第4(第4条関係)
認識事項 | 説明等 |
一人で我慢している、あるいは我慢させているのでは問題は解決しないこと。 | ハラスメントを我慢、無視したり、受け流したりしているだけでは、必ずしも状況は改善されないということを、まず認識することが大切である。 |
ハラスメントに対する行動をためらわないこと。 | 被害を深刻にしない、他に被害者をつくらない、さらにはハラスメントをなくすことは、自分だけの問題ではなく良い勤務・学習環境の形成に重要であることの考えに立って行動することが求められる。 特に、児童生徒が被害者の場合、一人で我慢している状況が起こりやすいので、第三者の積極的な行動が望まれる。 |
別表第5(第4条関係)
認識事項 | 説明等 |
嫌なことは、相手に対して明確に意思表示をすること。 | ハラスメントに対しては毅然とした態度をとること。すなわち、はっきりと自分の意思を相手に伝えることが重要である。直接相手に言いにくい場合は、手紙等の手段をとる方法も考えられる。 |
信頼できる人に相談すること。 | まず、職場の同僚や知人等身近な信頼できる人に相談することが大切である。各職場内において解決することが困難な場合には、外部の相談機関に相談する方法が考えられる。 なお、相談するに当たっては、ハラスメントが発生した日時、内容等について、記録しておくことが望ましい。 |
ハラスメントを認知した場合は、迅速かつ適切に対応すること。 | ハラスメントを認知した場合、教職員は、管理職に速やかに報告することが必要である。 報告を受けた管理職は、事実関係の把握に努めるとともに、関係者から事情を聴くなど、適切に対応することが必要である。 |