○美幌町法令遵守の推進に関する条例
平成27年3月19日
美幌町条例第4号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 職員等の公益通報(第7条―第14条)
第3章 不当要求行為に対する措置(第15条―第18条)
第4章 雑則(第19条・第20条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、公益通報及び不当要求行為に関する体制を整備するとともに、職員の職務の公正かつ誠実な執行に資する措置を講ずることにより、町政における法令遵守の推進を図り、もって町民の信託に応える町政を確保することを目的とする。
(1) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条に規定する一般職及び特別職をいう。
(2) 職員等 次に掲げる者をいう。
ア 職員
イ 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により町が指定した指定管理者(以下「指定管理者」という。)の役員及び従事者
ウ 町から事務又は事業を受託した事業者の役員及び従事者
エ 町が資本金、出資金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資する法人又は団体(以下「出資団体等」という。)の役員及び従事者
(3) 任命権者 地方公務員法第6条第1項に規定する任命権者をいう。
(4) 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例、町の執行機関(地方自治法第138条の4第1項に規定する執行機関をいう。以下同じ。)が定める規則その他の規程をいう。
(5) 通報対象事実 職員の職務及び町政に関する法令違反(法令に基づく権限を行使すべきであるにもかかわらずこれがされない場合又は法令に基づく裁量権の範囲をこえ若しくはその濫用がある場合を含む。)の事実をいう。
(6) 公益通報 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を通報することをいう。ただし、不正な利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でするものを除く。
(7) 要望、提案等 職員の職務及び町政に関する要望、提案、提言、相談、意見、苦情、依頼その他これらに類する行為をいう。
(8) 不当要求行為 次に掲げる行為をいう。
ア 町の執行機関及び指定管理者(以下「町の執行機関等」という。)が行う申請(行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第3号に規定する申請をいう。)に対する処分又は請負その他の契約に関して、正当な理由なく、特定の者に対して不当に有利な又は不利な取扱いをするよう要求する行為、入札その他の事務の公正を害する行為
イ 町の執行機関等が行う不利益処分(行政手続法第2条第4号に規定する不利益処分をいう。)に関して、正当な理由なく、当該不利益処分の名宛人となるべき者のために、当該不利益処分を行わないよう、又は処分内容を緩和するよう要求する行為
ウ 職員の人事(採用、昇任、降任、転任等をいう。)について、正当な理由なく、有利な又は不利な取扱いをするよう要求する行為
エ 正当な権利がないにもかかわらず権利があるとし、提供を受けた役務に欠陥がないにもかかわらず欠陥があるとし、若しくは交通事故その他の事故による損害がないにもかかわらず損害があるとし、又はこれらの欠陥若しくは損害の程度を誇張して、損害賠償、解決金その他これらに類する名目で金品、便宜等の供与を要求する行為
オ 職員が正常な状態で面談することが困難であるか、又は職務の遂行に支障が生じるおそれがあるため断ったにもかかわらず、強行に脅迫的言動を用いて、又は不快感を生じせしめるほど執拗に面談を強要し、又は営業を行う行為
カ 暴行、脅迫又は業務に支障を生じさせる程度のけん騒にわたる行為を用いて要望、提案等を行う行為
キ 庁舎等の施設の保全若しくは秩序の維持又は本町事務事業の適正な遂行に支障を生じさせる行為を用いて要望、提案等を行う行為
(職員の倫理原則)
第3条 職員は、町民全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について町民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等町民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、公共の利益のために常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
2 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務及び地位を自ら又は自らの属する組織の私的な利益に用いてはならない。
3 職員は、法令により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の町民の疑惑又は不信を招くような行為をしてはならない。
4 職員は、法令の遵守を常に意識するとともに、自らの行動が公務の信用に影響を及ぼすことを深く認識し、その資質の向上及び倫理の高揚に努めるものとする。
(町の執行機関の責務)
第4条 町の執行機関は、職員の資質の向上及び職務の倫理の保持を図るため、法令遵守に関する啓発、体制の整備、研修の実施その他必要な措置を講じなければならない。
(美幌町法令遵守審査会の設置等)
第5条 公益通報及び不当要求行為について、公正かつ中立な立場で適切に処理するとともに、公益通報をし、又は不当要求行為に対する措置に関与をした職員等の保護を図るために、地方自治法第138条の4第3項の規定により、町長の附属機関として、美幌町法令遵守審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会の委員は、心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき、又は職務上の義務違反その他審査会の委員として著しく不適当と認められるときを除き、その意に反して解嘱されることがない。
3 この条例で定めるもののほか、審査会に関し必要な事項は、美幌町附属機関に関する条例(平成25年美幌町条例第6号)で定める。
(美幌町法令遵守相談調査員の設置等)
第6条 審査会は、公益通報の相談、受付、調査等をするために、委員の互選により、美幌町法令遵守相談調査員(以下「相談調査員」という。)1人を置く。
2 相談調査員は、次に掲げる職務に従事する。
(1) 公益通報に関する受付、調査、調査結果の報告等
(2) 不当要求行為に対して講ずべき措置等の助言等
(3) その他この条例に定める職務
3 相談調査員は、その監督の下、前項各号に掲げる事務を他の者に補助させることができる。この場合において、相談調査員は、当該補助させる者を適切に監督しなければならない。
4 相談調査員及びその補助者は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職務を終えた後も、同様とする。
5 相談調査員は、自己、配偶者、三親等内の親族、同居の親族又は代理人の一身上に関する事件又はその従事する業務に直接の利害関係のある事件に関与することができない。この場合において、審査会は、他の委員を相談調査員に選任して、その職務に従事させなければならない。
第2章 職員等の公益通報
(公益通報の方法)
第7条 職員等は、相談調査員に対し、自己の氏名を記載した書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。以下同じ。)をもって公益通報をすることができる。ただし、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由の裏付けとなる資料を提示したときは、匿名で公益通報をすることができる。
(公益通報に係る相談)
第8条 職員等は、公益通報をしようとする内容が通報対象事実に該当するかどうかについて、あらかじめ相談調査員に相談をすることができる。
(公益通報に係る調査の開始等)
第9条 相談調査員は、第7条に規定する公益通報に係る書面が到達したときは、遅滞なく調査を開始し、その旨を当該公益通報のあった日から1箇月以内に当該公益通報をした職員等に通知しなければならない。ただし、匿名でされた公益通報の場合又は公益通報をした職員等が通知を希望しない場合は、この限りでない。
2 前項の規定により開始した調査は、3箇月以内に終了するよう努めるものとする。ただし、事件の困難性その他の事情があるときは、この限りでない。
(公益通報に係る調査の方法等)
第10条 相談調査員は、公益通報に係る調査のため必要があると認めるときは、町の関係機関に対し説明を求め、その保有する帳簿、関係書類その他の記録を閲覧し、若しくはその提出を要求し、又は実地調査をすることができる。この場合において、町の関係機関は、相談調査員の調査に協力しなければならない。
2 相談調査員は、公益通報に係る調査のため必要があると認めるときは、関係者及び町以外の関係機関に対し、質問、事情聴取又は実地調査をすることについて、協力を求めることができる。
3 相談調査員は、公益通報に係る調査のため必要があると認めるときは、専門的事項又は技術的事項について、専門的知識及び経験を有する者に対し、調査、分析、鑑定等を依頼することができる。
4 この条の規定により公益通報に係る調査に関係した者は、当該調査に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。ただし、この条例の規定により公表された事実については、この限りでない。
(公益通報に係る調査の終了等)
第11条 相談調査員は、公益通報に係る必要な調査が完了したときは、調査書を作成し、関係資料を添えて審査会に調査結果の報告をしなければならない。
(1) 通報対象事実について、不服申立て、訴訟その他の紛争処理手続がされているとき。
(2) 通報対象事実について処分等の権限を有する行政機関に対する公益通報がされ、当該公益通報に係る調査等がされているとき。
(3) 町の執行機関が通報対象事実の是正に必要な措置(以下「是正措置」という。)を講ずるとともに、当該是正措置の内容を公表したとき。
3 前項の規定により相談調査員が公益通報に係る調査を中止したときは、その旨を当該公益通報をした職員等に通知しなければならない。
4 調査を中止してから1年を経過しても第2項各号に該当する理由が継続しているために調査の再開がされないときは、調査を終了し、その旨を当該公益通報をした職員等に通知しなければならない。
5 第9条第1項ただし書の規定は、前2項の規定により通知する場合について準用する。
(公益通報に係る調査の結果の報告及び勧告等)
第12条 審査会は、前条第1項に規定する調査結果の報告に基づいて審査をし、通報対象事実があると認めるときは、その理由を記載した書面及びその裏付けとなる資料を添えて町長及び当該通報対象事実に係る町の執行機関に報告するとともに、当該町の執行機関に対し、是正措置を講ずるよう勧告しなければならない。ただし、審査会は、正当な理由があるときは、その理由の裏付けとなる資料の添付を省略することができる。
2 審査会は、前項の規定により報告及び勧告をしたときは、その内容を当該公益通報をした職員等に通知しなければならない。
3 審査会は、第1項の審査の結果、通報対象事実があると認められないとき(通報対象事実の存否が明らかでないときを含む。)は、その旨を当該公益通報をした職員等に通知しなければならない。
4 第9条第1項ただし書の規定は、前2項の規定により通知する場合について準用する。
(是正措置等)
第13条 町の執行機関は、前条第1項の規定により勧告を受けたときは、その内容を速やかに公表するとともに、是正措置を講じなければならない。
2 町の執行機関は、前項の規定により是正措置を講じたときは、遅滞なく、当該是正措置の内容を審査会に報告するとともに、公表しなければならない。
3 前2項の規定による公表は、インターネットの利用その他適切な方法によるものとする。
5 この条の規定により公表をしようとするときは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の趣旨にのっとり、個人情報の保護に留意しつつ、関係者の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。
(公益通報等をした者の保護)
第14条 公益通報又は公益通報に係る調査の協力(以下この条において「公益通報等」という。)をしたことを理由として任命権者が行った解雇は、無効とする。
2 公益通報等をした者は、公益通報等をしたことを理由として、いかなる不利益な取扱いをも受けない。
3 公益通報等をした者は、公益通報等をしたことによって不利益な取扱いを受けたときは、相談調査員を窓口として審査会にその是正を申し立てることができる。
第3章 不当要求行為に対する措置
(要望、提案等に対する基本原則)
第15条 町の執行機関は、町民の町政への参加と協働を実現するため、町政運営に対する要望、提案等の重要性を十分に理解し、誠実にその内容を受け止め、適正に対応しなければならない。
2 町の執行機関等は、特定の者を特別に扱うことを求める要望、提案等に対しては、他の者の権利及び利益を害さないよう十分に留意し、正当な理由なく、特定の者に対して便宜又は利益を図ることにならないよう慎重かつ適切に対応しなければならない。
3 町の執行機関等は、要望、提案等が不当要求行為に該当すると認める場合は、これを拒否しなければならない。
(不当要求行為に対する措置等)
第16条 町の執行機関等は、不当要求行為があった場合は、町民に信頼される公正な職務の遂行及び職員等の安全の確保を図るため、複数の職員等により、組織的に毅然とした態度で対応しなければならない。
2 町の執行機関等は、不当要求行為があった場合は、不当要求行為の内容を記録するとともに、不当要求行為をした者に対し、口頭若しくは書面により注意し、又は警告し、その要求に応じることができない旨を回答しなければならない。
3 町の執行機関等は、前項の規定による回答をしたにもかかわらず、不当要求行為をした者が当該不当要求行為を中止しないときは、退去を命じ、又は警察に通報しなければならない。
4 町の執行機関等は、前項に規定する措置を講じた場合において、不当要求行為をした者が当該不当要求行為を中止しないとき、又は再度同様の不当要求行為をしたときは、相談調査員と協議し、告訴、告発、訴えの提起その他の当該不当要求行為を排除するために必要な法的措置を講じなければならない。
(職員等への配慮)
第17条 町の執行機関等は、職員等がその正当な職務行為に起因して、不当要求行為をした者その他の者から不当な権利侵害を受けることがないよう配慮し、及び職員等が不当な権利侵害を受けた場合は、相談調査員と協議し、当該職員等に対し、援助、保護その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 町の執行機関等は、前条の規定による措置に関わった職員等が不利益な取扱いを受けることがないよう、必要な配慮を行わなければならない。
3 前条の規定による措置に関わった職員等が不利益な取扱いを受けたときは、当該職員等は、相談調査員を窓口として審査会にその是正を申し立てることができる。
2 町長は、出資団体等に対し、前項に定める必要な措置を講ずるよう指導に努めるものとする。
第4章 雑則
(運用状況の公表)
第19条 審査会は、毎年度、公益通報及び不当要求行為の件数並びにそれらの概要その他この条例の運用に関する状況を取りまとめ、その内容を町長に報告しなければならない。
2 町長は、前項の報告の内容をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。この場合において、町長は、個人情報の保護に関する法律の趣旨にのっとり、個人情報の保護に留意しつつ、関係者の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成27年6月1日から施行する。
(美幌町附属機関に関する条例の一部改正)
2 美幌町附属機関に関する条例(平成25年美幌町条例第6号)の一部を次のように改正する。
別表の町長の部の美幌町名誉町民推薦審議会の項の次に次のように加える。
美幌町法令遵守審査会(法令遵守の推進に関する条例) | ・公益通報に関する審査、是正の勧告等 ・不当要求行為に関する審査、是正の勧告等 ・運用状況の調査及び報告 ・その他法令遵守推進条例の実施に関し必要な意見を述べること。 | 3人以内 | ・人格が高潔で、法令に関し専門的知識を有する者又は学識経験者 | 2年 | 委員 美幌町法令遵守相談調査員 ※委員の互選 | 総務部 |
(美幌町非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 美幌町非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年美幌町条例第15号)の一部を次のように改正する。
別表第1の名誉町民推薦審議会委員の項の次に次のように加える。
法令遵守審査会委員(法令遵守相談調査員含む。) | 同 5,600円 |
附則(平成28年3月24日美幌町条例第6号)
この条例は、平成28年4月1日から施行する。
附則(令和4年12月9日美幌町条例第19号)
この条例は、令和5年4月1日から施行する。